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2010年1月25日 (月)

[イベント] Tech Fielders セミナー 「Agile Day」 に参加しました (2010/01/22)

マイクロソフトの東京オフィス (新宿) で 2010/1/22 に開催された 「Tech Fielders セミナー 『Agile Day』」 に行ってきました。
参加者数はざっと 60名。 おそらく Windows 系でソフトウェア開発に携わっている人が多いと思います。 そういう中でアジャイル開発に興味を持っていて参加された方々がこれだけいらっしゃったのには、 失礼ながら驚きでありました。 参加者の何人かとお話しさせていただきましたが、 みなさん、 良いソフトウェアを作り出すのは人でありチームであると思っていらっしゃるようで、 心強い想いをいただいて帰途に着くことができました。
※ 私はこのサイトで、 TDD というテクニカルな部分だけを扱っています。 TDD はアジャイル開発に必須と言っていいプラクティスです。 しかし、 良いものを作り出すのは人でありチームであって、 TDD だけをやりさえすれば良いものが出来るなどとはけして思っていません。

今後も開催が予定されているとのこと (まずは 3月と6月) ですので、 今の仕事のやり方に疑問を感じているソフトウェア業界のみなさん、 次は参加してみてはいかがでしょう。 主催のマイクロソフト長沢さんは、 いろいろと変わったことをやってみたいと宣言していましたので、 ますます期待してよさそうです。 また、 企画も募集しています。 ⇒ 長沢智治のライフサイクルブログ 「昨日の Agile Day ありがとうございました!

セッション資料や内容の紹介は、 マイクロソフトのアジャイル開発支援サイトや、 他の参加者のかたのブログ等に詳しく載ると思います。 また当日の Twitter での呟きは http://search.twitter.com/search?q=%23msagile で読むことができますし、 kanu_ さんが纏めてくれたものなどもあります。 ⇒ Togetter(トゥギャッター) 「Tech Fielders[Agile Day] 10/1/22@新宿 の発言まとめ

以下、 私からも簡単にご紹介。

 

◆ アジリティを向上させるためにマイクロソフトが行ったこと (長沢智治)

20100122agileday01 
開発プロセスの改善のために、 組織を変えるとともに、 アジャイル プラクティスを導入した成果を、 Visual Studio の開発部門を例に紹介していただけました。 内容は、 基本的に Tech・Ed 2009 の T6-302 のダイジェスト版という感じ。
資料に載っていない話もいくつかあって、 ストーリーボードに PowerPoint を使ってるところと、 開発プロセスに Scrum を取り入れたことが印象に残りました。

ちなみに、 Microsoft から提供されている開発プロセス Microsoft Solution Framework (MSF) は、 プロセス ガイダンス (ドキュメント) と、 Team Foudation Server (TFS) に組み込まれるプロセス テンプレート (Microsoft Process Template - MPT) から成っています。
アジャイル開発向けの MSF for Agile Software Development (通称 MSF Agile) は Visual Studio 2010 で Ver. 5 になります。 MSF Agile 4.x との大きな違いのひとつとして、 Scrum を取り入れたことが上げられます。
なお、 日本語版のプロセス ガイダンスは、 Ver. 4.x は TFS 製品の一部ということからでしょうか、 非公開 (TFS 評価版をインストールすれば見ることはできた) でしたが、 Ver. 5 は MSDN ライブラリーで公開されます。 ⇒ MSF for Agile Software Development v5.0

 

◆ 開発現場でのムダ取り・改善活動 (三井伸行)

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ドットNET分散開発ソフトピア・センターで実際にやってみて、 上手くいったアジャイル プラクティスの数々を紹介していただけました。 地に足が着いた、 とても重みのあるお話でした。
その他にも、 とある大企業での営業は二人ペアで資料作りとかをやっている (ペア プログラミングに相当) とか、 「管理職はチームをプロデュースせよ」 (映像作品のプロデューサーや芸能界のマネージャーを見習え) という名言や、 アジャイルなことをしている組織でも CMMI レベル5 や ISO 9001 を取得できているなど、 貴重なお話もありました。 また、 ソースコードのスパゲッティを解消しようとしてモデルを作るようになったが、 モデルのスパゲッティを産んだだけだ、 という話は実に面白かったです。

気になったのは、 製造業のお手本として TPS (トヨタ生産システム) の 「7つのムダ」 を最初に提示されたこと。 「7つのムダ」 は生産部門を対象にしたもので、 開発部門についてのスローガンではありません (TPS の原点は生産現場ですから波及はしていると思います) から、 ソフトウェア開発に当て嵌めるのには違和感を感じました。
私は、 製造業をお手本にするなら、 量産ラインではなくて新車や生産ラインの開発部門を見るべきだと思っています。 ⇒ ソフトウェア開発の競争力向上 (黒岩 惠) (2008年4月17日)

 

あなたにとってアジャイルとは何ですか? (ebacky)

最初に、 「何につけ、 銀の弾丸は無い!」 と強調されたあと、 いきなりワークショップに突入。 問題を与えて、 チーム内でコミュニケーションと手を動かさせて、 気付きを誘導するスタイルでした。
私は頭で理解してから手が動くタイプなので、 このやり方はどうにも苦手ですが、 いままでの私の経験からすると、 世の中には情動から動く人の方が多い気がするので、 ebacky スタイルのほうが有効なはずです。

あいまいなゴール・要件、 途中での仕様変更、 納期短縮要請などに対して、 参加者の各チームはノーヒントで立ち向かいます。 私が参加したチームでは、 その取り組みの中でインクリメンタルな手法の優位性を見出すことができたように思います。

ちなみにこのチーム編成は、 まったく面識の無い人同士が 5人集まるというルールで行われたのですが、 自己紹介が進んでみると、 お名前 (というか、 ハンドル) を知っている方が何人か…。
ま、 世間は狭い、 ということで。

 

◆ Lightning Talks

アジャイル開発 まずは社内の誤解に立ち向かえ (Ryuzee)
TDD ってどんな感じ? ~ FizzBuzz を作ってみる (biac)
アジャイルソフトウェア開発現在進行形 (永瀬美穂)

LT では、 私も 2番目に喋らせていただきました。 今回唯一のテクニカル セッションということで (笑)。
とんでもないスライド枚数になってしまい、 事前の練習では 6分~8分も掛かってましたので、 まぁ予定通り(?) スライドを 2枚残してタイムアップしてしまいました。
私以外のお二方の LT は、 実際にアジャイル プラクティスをやっている経験からのもので、 やはり重みがありました。

LT の後は、 18:30 までの予定で "Happy Hour" (懇親会) です。
たくさんの人とお話できました。 ありがとうございました。 また、 一角で数名の方がプランニング ポーカーの実演 (というか、 演習) をされてたのですが、 写真を撮らせてもらえばよかった。 失敗しました。
"Happy Hour" も盛り上がり、 会場を後にしたのは 20時近く。 盛大に延びてしまって、 MSKK のサポート スタッフの方々には申し訳なかったのですが、 楽しい時間を過ごせました。

こうして Agile Day 第1回は無事に閉幕し、 大成功になりつつあると感じています。 (催し物の評価は、 当日だけじゃありません。 後日、 それがどこにどれだけ影響を及ぼしたのかも、 重要な評価ポイントです。)
Twitter の呟きにもありましたが、 「MS のイベントである」 という点は、 「アジャイル → ジャバ → ウィンドウズ アプリ開発には不要」 という連想回路を持っているとしか思えないような、 アジャイル嫌いの人に対しても、 大きな訴求力があるでしょう。
1回目ということで、 アジャイル プラクティスに傾注してしまった感はありますが、 次回以降だんだんと、 顧客も含めたアジャイル ソフトウェア開発の全体を考えるイベントに育っていくことでしょう。 そして私も、 テクニカルな部分に限定されると思いますが、 協力していきたいと思っています。

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